想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

2026.08.07

フィギュアスケート

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

スポーツビューティ事務局

INDEX

・ 運命を変えたフランスでの戴冠 ・ リンクを離れて目立つ冷静さ ・ 新プログラムで挑む新境地 ・ 演技を支える“18歳のセルフケア” ・ 「今は追いかける立場でもいい」

2025-26シーズンのフィギュアスケート界は、日本人選手たちが国際舞台で躍動し、多くのファンを魅了した。そんな中、シニア1年目ながら女子フィギュア界の新たなヒロインとして存在感を示したのが中井亜美だ。想像を超えるシーズンを駆け抜けた18歳は、「挑戦を楽しむ」という気持ちを胸に、どのような成長を重ねてきたのか。新たなシーズンへ向かう“美しき挑戦者”が語る現在地とは―― 。

運命を変えたフランスでの戴冠

ジュニア時代に国内外の大会で好成績を収めた中井は、17歳を迎えた2025-26シーズンを前にシニアカテゴリーへ転向。主要大会でいきなり結果を残し、ブレイクを果たした。この1年を「人生が変わるようなシーズン」だったと振り返る中井。シンデレラストーリーとも言える飛躍を遂げたシニア1年目を支えたのは、未知の舞台に挑む不安を前向きに受け止めるチャレンジ精神だった。

「シニアデビューする時は、まったくこのような結果になるとは思っていませんでした。初めてのことばかりで不安もたくさんありましたが、初めてだからこそ挑戦する気持ちを持って臨めたことが、このようないい結果につながったのだと思います」

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

不安な気持ちを持ちながらシニア1年目を駆け抜けた

中井の運命を大きく変えるきっかけとなったのが、2025年10月に行われたグランプリシリーズ(GP)第1戦・フランス大会だった。同シリーズ初出場ながら、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させるなど圧巻の演技を披露。坂本花織、住吉りをんとの日本人対決を制し、初優勝を飾った。本人も「想定外だった」と振り返るこの結果が、その後の国際大会での快進撃へとつながっていく。

「フランス大会はメンバーも本当にレベルが高くて、正直、表彰台は難しいかなと思っていました。でも、『今までやってきたことをすべて出し切ろう』という気持ちで臨み、それがしっかりできた結果、優勝することができました。すごくうれしかったですし、自分自身も驚くような結果になりました」

リンクを離れて目立つ冷静さ

中井の快進撃の礎となったのは、新たな世界へ踏み出す怖さを抱えながらも、その状況を楽しもうとする前向きな姿勢だった。冬の国際大会では日本フィギュア史上最年少のメダリストとなり、伊藤みどり、浅田真央、樋口新葉に次ぐ4人目のトリプルアクセル成功者となった。短期間で新たな領域へ進む中で、その変化と向き合いながらも、自らの“理想像”を追い求める姿がそこにはあった。

「挑戦する時は、どうしても不安や緊張があります。でも、それをポジティブに捉えるようにしています。『挑戦することを楽しもう!』という気持ちは常に持っています。トリプルアクセルは、自分が憧れて始めたと言っても過言ではないジャンプです。大きな舞台で決めることへの楽しみやワクワクがあるので、挑戦する気持ちはずっと持ち続けています」

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

「挑戦することを楽しむ」という姿勢を忘れない

リンク上で見せる美しいトリプルアクセルや、演技後の愛くるしい仕草や表情で多くのファンを魅了した中井。一方で、リンクを離れて印象的なのは、自身の現在地を冷静に見つめる姿だ。日頃から自らの演技を振り返る“内省力”を磨くことが、正しい目標設定や、自らが進むべき道を明確にすることにつながってきた。

「自分の演技動画を見返すのがすごく好きなんです。良かった演技を見るのも好きですし、小さい頃の動画を見ることもあります。普段の練習でも動画を撮って振り返るようにしているので、それを見ると『まだここが足りない』ということも分かりますし、試合の演技を見返してモチベーションを上げることもあります。振り返ることで、自分の目標や目的がより明確になるのかなと思います」

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自身の演技を見返すことで、目的意識を高めていく

新プログラムで挑む新境地

国際大会でメダリストとなった中井は、多くのメディア取材をこなしながらも、次なるシーズンへ向けた準備を進めた。神奈川県のKOSÉ新横浜スケートセンターで開催されたアイスショー「Dreams on Ice 2026」で初披露したのが、新ショートプログラム「Por Una Cabeza」。憧れの浅田真央さんがエキシビションで滑ったこともあるタンゴ調の楽曲に乗せ、新たな表現への挑戦をスタートさせた。

「時間が限られている中で振り付けをすることが多く、準備期間も短くなってしまいました。それでも振付師の方が丁寧に作ってくださったので、それをどう自分のものにしていくかが大切だと思っています。シーズン後半に向けて、もっといいプログラムにしていけたらいいなと思っていますし、自分にとって今の大きな目標は全日本選手権です。最高の演技ができるように、しっかり仕上げていきたいと思っています」

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

全日本選手権を目標に、新プログラムの精度を高める

日本の女子フィギュア界を長く支えてきた坂本が現役を引退。4月に18歳を迎え、シニア1年目を終えたばかりの中井だが、国際大会でメダリストになったことにより、トップ選手として、短期間で“追う立場”から“追われる立場”へと境遇が変わりつつある。輝かしいシーズンの裏にあった苦悩の日々を明かしながらも、中井は今の状況を受け止め、次なるステージへ進んでいく決意を語った。

「毎シーズン、すべてがうまくいくとは思っていません。もちろん、うまくいくのが一番ですが、思うようにいかない時期もあると思っています。日常でも落ち込む日は結構ありますし、シーズン中はメンタル的に沈むこともあります。そういう日はしっかり落ち込んで、たくさん泣いて、次の日には切り替える。困難があったとしても、フィギュアスケートが好きという気持ちを忘れずに、前向きに頑張っていきたいです」

演技を支える“18歳のセルフケア”

リンク上で華麗な演技を見せる中井にとって、最高のパフォーマンスを発揮するためには日々の積み重ねが欠かせない。その意識は美容やセルフケアにも表れており、18歳ならではの肌悩みと向き合いながら、自分に合ったケアを続けている。

「思春期でもあるので、ニキビのケアなど肌のケアには特に気を付けています。導入美容液(コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム)をいつも使っていますし、コスメデコルテの化粧水(コスメデコルテ イドラクラリティ 薬用 トリートメント エッセンス ウォーター)もお気に入りです。あとは、食事にも気を付けています。シーズン中は体型管理もしないといけないので、お母さんと一緒に維持できるように頑張っています」

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

思春期の悩みを抱えながらも、メイクで自分らしさを磨く

さらに、試合で欠かせないヘアセットの後には、頭皮までしっかりケアしているという。

「髪の毛のケアも大事だと思っています。試合ではヘアスプレー(スティーブンノル プロフェッショナル スタイルメモリー スプレー)でしっかり固めることが多いんですが、ヘアスプレー特有の匂いがあまりしないところが好きなんです。また、しっかり固めた後でも、頭皮スクラブ(スティーブンノル ニューヨーク スカルプリフレッシュ ヘッドスクラブ)を使って洗ったら、すごくすっきり落ちて驚きました」

メイクについては「本当に大好きで、毎日するのが楽しみ」と笑顔を見せる中井。全体の統一感やベースメイクを意識しながら、その日の気分に合わせてメイクを楽しむだけでなく、演技を振り返るように過去の写真を見返し、自分らしい表現を磨いている。

「今は追いかける立場でもいい」

シニアで華々しいデビューイヤーを過ごした中井に、この1年で得たものを問うと、返ってきた答えは「練習の大切さ」だった。トップスケーターへと成長する中で、目の前にある1日1日の積み重ねの重要性を、より強く感じるようになったという。

「メダリストになってから、『自分が引っ張っていかなければいけない』とか、『頑張らないといけない』という気持ちが強くなってきました。でも、その気持ちが強すぎると、うまくいかないとも感じています。まだ18歳ですし、たくさんの先輩方もいるので、今は追いかける立場でいてもいいのかなと思っています。新シーズンはプレッシャーや緊張もあると思います。それをどう乗り越えるかによって、今後の人生も変わってくると思うので、しっかり乗り越えていきたいです」

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い

重責を感じながらも“挑戦者”として次のステージに挑む

新たなシーズンへ向けても、挑戦者としてのメンタリティを崩すことなく、さらなる成長を求めていく。想像を超えるシーズンを駆け抜けた“美しき挑戦者”は、次のステージでどのような姿を見せるのか。18歳・中井亜美が、新たな領域へと足を踏み入れていく。

想像を超えたシーズンの先へ――18歳・中井亜美が語る“変わらぬ挑戦者”の思い
中井亜美選手プロフィール
2008年4月27日生まれ、新潟県出身。所属はTOKIOインカラミ。2013年にスケートを始め、ジュニア時代から国内外の大会で活躍。2025-26シーズンにシニアへ転向すると、グランプリシリーズ第1戦・フランス大会で初優勝を飾り、2026年ミラノ・コルティナ五輪では女子シングル銅メダルを獲得した。趣味は音楽鑑賞。

text by 井本 佳孝(Yoshitaka Imoto)

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