2024.11.15NEW
「メイクをばっちりすると、めっちゃやる気が出てきます」
坂本花織のやる気スイッチ
2023.12.01(最終更新日:2024.01.10)
●フィギュアスケート2023年11月11日、山形県酒田市の「スワンスケートリンク」で日本スケート連盟が主催する「JSF基礎スケート教室」が行われた。スケートの普及を目的に各地で開催しているもので、日本スケート連盟のオフィシャルパートナーであるコーセーが今後の事業拡大の支援とスケートリンクの減少を防ぐことを目的として協賛に加わり実施されている。
指導や運営に携わる多くのスタッフとともに、特別講師として高橋大輔、村元哉中、無良崇人、宮原知子、本郷理華の5名が参加した。彼らもまた、自身が打ち込んできたスケートへの思いが参加する動機としてあった。
「あまりスケート教室をやった経験がなくてちょっと不安だったんですけど、でも少しでもスケートの楽しいところを伝えられれば嬉しいな、という思いで来ました」(本郷)
「私も理華ちゃんと同じなんですけど、自分が競技を引退してから、ここまでずっとスケートしてきたからこそ伝えられる何かがあるんじゃないかなって思いました」(宮原)
スケーターは皆、大会などでヘアメイクのサポートをコーセーから受けてきた。その体験も交えつつ、村元は言う。
「メイクルームでメイクしていただいたり、教えていただいた記憶が今でも残っています。テンションがあがるというか、心も動くというか。スポーツとメイクは全然違うカテゴリーですが美しさというところにつながるんだなと感じています。コーセーさんのサポートでこのような教室があって、スケートの楽しさを私なりに広げられたら、という思いがあります」
スケートの楽しさをより広めたい、やってみたい人を増やしたい。その根底にはスケートの将来への危機感もあった。
実はスワンスケートリンクは冬季間営業されてきたリンクだが、2024年3月31日をもって閉鎖されることが決定している。スケートリンクの閉鎖は近年でも各地に見られるが、また1つ場所がなくなることになる。その危機感を参加したスケーターたちも抱いている。高橋は語る。
「イベントなどでスケート教室をやらせてもらうことが多いんですけど、楽しそうに真剣にやってる子たちを見ていると僕たちも元気もらえますし、もっとそういう子が増えればいいなと思います。でもスケートリンクがないと体験することもできないです。リンクを新しくつくるってほんとうに大変なことなので、あるものをどれだけキープするか、めちゃくちゃ頑張らないといけないことだと思います。以前に比べフィギュアスケートは知名度が上がってきているけど、まだ身近なものに感じられていないところがあるので、こういった活動ってすごく大事なんじゃないかなと思います」
無良はこう語った。
「地方に行くと昔からあるところでも閉鎖になるところがたくさんあります。スケートをやりたいけどやれない、やるきっかけがなかなかないという中でこういう教室を開いていただくことでスケートをしよう、選手を目指そうという子が増えてくれるのはすごくありがたいです。コーセーさんのサポートをいただいて、僕らが次の世代の子たちを育てていくっていうことが必要なことだと思うし、そういう点においてこういう教室というのは有意義な機会かなと思ってますね」
きっかけや動機はそれぞれであっても、幼少の時期にスケートを始め、競技生活を過ごし、プロスケーターとして、あるいはコーチとして彼らはフィギュアスケートとともに生きてきた。フィギュアスケートを通じて自分に自信を得られたり、大会などを通じて普通なら交流できない様々な年代の人と出会い人間の幅を広げられたり、演技が観る人の心を動かすのを実感したり、そうして得られたさまざまな糧が競技を続ける原動力ともなった。
だからスケートの発展を心から願い、スケートを楽しむ人を増やしたい、ひいてはリンクの存続につなげたいと思う。
「フィギュアスケートってずっと長く続けられるスポーツでもあるんです」
村元が言うと、無良が続けた。
「試合でオランダに行ったとき、リンクの一般開放時間みたいなのがあって、いろいろな年齢層の人がやってるんですよ。転んだら骨折れるんじゃないか、ぐらいのおじいちゃんとかが普通にスケート滑ってる。ああいう感じにならなきゃなって思ったことがあります」
高橋もこう語った。
「もうちょっと娯楽として楽しむという宣伝もやっていかなきゃいけないと思うんですよね。ターゲットは子どもだけじゃなく大人の方々も含めて」
小学1年生から大人の年代までが参加するスケート教室は、貴重な機会だ。あらためて、本郷は特別講師として参加する思いを語った。
「私は仙台出身で、けっこう地方だからテレビで観ている人が滑っているのを生で見る機会があんまりなかったんですけど、ちっちゃいときに荒川静香さんが練習に来て、それでスケートってこんなにすごいんだって感じて、もっと頑張りたいって思った記憶があります。テレビで観ていた選手の滑りだったり、そういう選手に『こう言ってもらえた』って思ったりするともっとスケートやってみたいって思う子が増えてくれるんじゃないかなって思うので、スケートってこんなこともできるんだよ、とかいろいろな面を伝えられたらうれしいなって思います」
宮原も言う。
「氷に乗ること自体が初めての人もいるかもしれないので、氷の上にいるってこういう感覚だよっていうのを分かってもらえたら。ちょっとでもスケートの楽しさを知ったり、難しさを感じるのも楽しさの1つかなと思うので、自分の体がどう感じているかを実感してもらえたらと思います」
午前8時、小学1年生から大人の年代の人まで、約50名が参加したスケート教室が始まる。
「氷の上は初めてです。でもやってみたいと思って応募しました」
「何回か滑ったことあるけど、教えてもらえる人たちがすごい人たちなので参加したいと思いました」
参加した小学生の子たちが語るように、まったく初めての子から、多少の経験者までさまざま。グループに分かれ、スケート靴で立つこと、歩くことから始まる子たち、あるいはコーンの周りをカーブする子たち――それぞれにレッスンが行われた。そのグループを指導するスタッフに加え、特別講師である5人のスケーターが巡回して、ときに手を取り、笑顔で声をかけて指導にあたる。
1時間強の教室を経て、最初は立つのがやっとだった子たちが歩けるようになっていく。おそらく経験したことのある子たちが、より滑らかにコーンをまわれるようになっていく。
氷上には、笑顔がいくつも並んだ。
「楽しかったー」「ちょっとできるようになった」
終了してリンクから引き上げてくるときの声も弾んだ。
スワンスケートリンクの廃止は決定している。だが、山形に通年型の屋内リンクの開設を要望する声があり、検討も進められているという。県が進める基礎調査の要素の1つには「経済効果」の項目があるという。
スケーターたちが熱意をもって取り組んだこの日に生まれた笑顔は、きっと、スケートへの熱も高めただろう。そしてそれは、リンクの展望にもつながっていくはずだ。
早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経て「Number」の編集に10年携わりフリーに。スポーツでは五輪競技を中心に取材活動を続け、夏季は2004年アテネ、'08年北京、'12年ロンドン、'16年リオデジャネイロ、冬季は'02年ソルトレイクシティ、'06年トリノ、 '10年バンクーバー、'14年ソチ、'18年平昌と現地で取材にあたる。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)『フライングガールズ−高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦−』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ 前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)など。
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