SPECIAL ISSUE powered by Number
「ダンスがしたい」通知表オール5の弟が流した涙の決断と絆。福岡・久留米育ちの3人がD.LEAGUEで夢を踊る。SHUVAN×ISSEI×Taichi[KOSÉ 8ROCKSスペシャル鼎談]

2025.05.20

ブレイキン

「ダンスがしたい」通知表オール5の弟が流した涙の決断と絆。福岡・久留米育ちの3人がD.LEAGUEで夢を踊る。SHUVAN×ISSEI×Taichi[KOSÉ 8ROCKSスペシャル鼎談]

雨宮圭吾

福岡県久留米市で出会ったSHUVAN、ISSEI、Taichi。3人の出会いからD.LEAGUE(Dリーグ)の舞台でともに戦う今に至るまでを、語り合った。

SHUVAN 福岡の久留米市でダンスを始めて、九州男児新鮮組で一緒に踊っていたこの3人が、東京でも同じチームで活動するとは思わんかったよね。

ISSEI 本当に長い付き合いですよね。自分がSHUVANさんのお母さんがやっているスタジオMJダンススクールに入ったのが幼稚園の年長の頃だった。

SHUVAN 当時、自分は高校を卒業して世界大会に行っていた時期で、ISSEIに「これ見てください」「あれ見てください」ってまとわりつかれてうざかったなあ(笑)。うちにもずっと遊びに来てて、なんでこいつ家にいるの?って思ってた。

ISSEI 超憧れの存在だったんで! 当時はSHUVANさんのマネばっかりしていたような気がする。

ダンスを始めたら兄弟なのに家でも敬語

SHUVAN​ (ISSEIの弟の)Taichiはもっと生意気だった(笑)。初めて一緒にごはん食べに行ったら、いきなりタメ口で「お前バク転できると?」って。なんなら俺のお兄ちゃんはできるけどみたいな空気を出してきて。「いや、俺がISSEIに教えたっちゅうに!」って(笑)。

Taichi まだダンスをしてない小学1、2年生の頃ですね。

SHUVAN それがダンスを始めたらコロっと変わった。

Taichi 小3くらいの時に家で練習していたお兄ちゃんに、ウインドミルという技を教えてもらったんです。遊び感覚でやってみたら、ちょっとできたんです。ブレイキンで一番うれしいのは、技ができた瞬間。それをいきなり味わっちゃった。

ISSEI マジですぐにできるようになって驚いた。それで1週間後にはTaichiもスタジオMJダンススクールに入ってたよね。ダンス始める前のTaichiはわがままというか、反抗心が強すぎたけど、それからは一切兄弟げんかもなくなった。

Taichi(写真右・弟)がダンスを始めて兄弟げんかがなくなったと懐かしむISSEI photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

Taichi まず敬語に変えました。

ISSEI そう! それまで「おーい、ISSEI!」だったのが、「ISSEIくん」とか「ISSEIさん」に変わった。兄弟なのに家で敬語だから、お父さんがドン引きしてた(笑)。

SHUVAN ダンスは人を変えるね。素晴らしい!

「SHUVANさんの年収はいくらですか?」

SHUVAN ただ、2人ともダンスを続けていく中では紆余曲折もあった。

ISSEI 自分は両親から「もうダンスはいいんじゃないか」と言われるタイミングが何度かあって、中3の時にも「高校に入ったら勉強しなよ」と言われた。それがすごく頭にきて「ダンスで見返してやろう」と思ったんですよね。それから大会でもどんどん結果が出るようになって、大きな世界大会で優勝してからは何も言われず、むしろ応援してくれるようになりました。

SHUVAN 久留米は田舎だし、当時成人を超えてダンサーを職業とするみたいな考えもなかっただろうし、ご両親の心配は自然なことだったと思うよ。

Taichi 僕はお兄ちゃんが言われているのを見ていたからこそ、勉強をしようかなと思った。同級生の子が辞めちゃってダンスにあまりモチベーションが湧かない時期があって、勉強の方により力を注いだ時期があった。

ISSEI すごかったよ。オール5、初めて見たもん。オール5なんて都市伝説だと思ってたけど、Taichiの高校の通知表を見たときに本当にあるんだって驚いた。

SHUVAN 懐かしい(笑)。あの頃のTaichiは本当にダンスや人生に悩んでいたもんね。長崎のダンスバトルに一緒に行って、Taichiはコテンパンにやられて移動中もひたすら無言。一緒に佐世保バーガーを食べながら、将来の話をしたのをよく覚えてるよ。ダンスを続けるなら、ISSEIがいる東京にいってガチでやってみるか?って。

幼少期からのISSEIとTaichiを知るSHUVAN photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

Taichi 踊る楽しさは変わらずあったけど、当時はDリーグもなかったし、ダンスで食べていくとは考えづらい状況だったんですよね。

SHUVAN 「SHUVANさんの年収はいくらですか?」って聞かれたもんね(笑)。それぐらい真剣に考えていたんだろうね。

ISSEI 僕はその頃東京にいて間近にはいなかったけど、Taichiが勉強を頑張ってる姿を見て「あ、もうダンスはそんなにせんのやろうな」と思ってた。たまに地元に戻って練習しているのを見ると、「やっぱセンスがあるな。天才型でなんでもできる。もったいないなあ」と思ってた。

Taichi もう悩みだらけで、しかも大学受験にも失敗して、なんとか手に職をつけなきゃって専門学校を調べてた時に、悩んで落ち込んでいる自分を見て、お母さんが「そんなTaichiは見たくない」と。「今までダンスしてきたんだから東京に行っておいで」って言われたんです。

SHUVAN それでもまだ決めきれずに、俺にも電話してきたよね。「東京に行くって話があるんですけど、どう思いますか?」と。

ISSEI 自分にも電話がかかってきて、めっちゃ泣きよった気がする。「結局何がしたいと?」と聞いたら、泣きながら「ダンスがしたい」と。「じゃあ東京おいでよ」って伝えた。それはすごく覚えている。

SHUVAN その言葉は大きいよね。ISSEIがFOUND NATION(関東在住メンバーを中心とした世界的ブレイキンクルー)に加入して先に東京に出てきていたのは、Taichiにとって大きな安心感があったと思う。

Taichi 確かに大きかったですね。まだDリーグが本当に始まるのかも曖昧な時期だったけど、それでも行ってみようと思えました。

photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

あまり記憶がない…Dリーグ初年度

Taichi それから東京に出て、お兄ちゃんがディレクターに就任したKOSÉ 8ROCKSにも加入してDリーグにも出るようになった。それまでのバトルイベントとは音楽も、場所も違うので新しい発見がたくさんあった。

ISSEI 1つの作品を見てもらうのがショーケース。即興で出し合って瞬間を楽しむのがバトル。ショーケースが練り上げたものを出す漫才やコントみたいなものだとしたら、バトルは瞬発力勝負のトークバラエティなのかな。

SHUVAN 相当違うよね。ラウンドごとにダンスのテーマを考えるのがディレクターの大きな仕事だけど、忙しくて本当に寝られない(笑)。初年度にディレクターを務めたISSEIは大変だったと思う。

ISSEI 当時はディレクターをやりながら、自分もスタメンとして毎ラウンド出場していたので、もう頭が何度もパンクしていた。あまり記憶がないです(笑)。

Taichi 僕から見てもしんどそうだったもん。スタジオに入ってきても、なんだかずっと放心状態で。

SHUVAN 放心状態(笑)。

Taichi 一点を見つめて動かないみたいな感じ。ステージで輝いてるイメージしかなかったから、初めてそんな姿を見て「大丈夫かな?」と心配もしていました。

ISSEI メンバーひとりひとりの気持ちを考えたり、テーマを決めたり、チームマネジメントの部分は確かに大変だった。ただ、振り付けやダンスそのものの部分に関しては、みんなからどんどんアイディアが出てきたから、そんなに大変じゃなかった。

ISSEIはDリーグ初年度にKOSÉ 8ROCKSのディレクター兼ダンサーを務めた photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

SHUVAN 自分もテーマを決めて、土台の部分を作るのがディレクターの仕事と思っている。あとは個々のメンバーがアイディアを出し合ってくれる。特にこの2人はアイディア出しのプロだね。

Taichi 僕は怪我をして長く出られない時期もあって、他のチームのリハをゆっくり見る機会も多くあったので、俯瞰した視点でいろいろ意見を出すようにしています。

絶対曲げない性格のSHUVANが見せた進化への変化

SHUVAN 特にDリーグではルールに合わせて、こちらもどんどん進化していかないといけない。本来ブレイキンに振り付けという概念はないけど、今シーズンは審査に「コレオグラフィー※1」という項目が入ってきたから向き合わざるを得ないし、「ステージング※2」も同じ。照明や衣装だって今までそこまで意識してこなかったものを、日々勉強させてもらってるよ。試行錯誤を繰り返して、ようやく形になったのがKADOKAWA DREAMSに勝ったROUND.8だったかなと思う。

※1 SHOW内の振付全般について評価する項目。
「音楽・音の表現力」「フォーメーション」「独創性・創造性」などを軸として評価。
※2 ショーをより良く見せるためのダンス以外の要素を評価する項目。
「作品全体の起承転結」「作品内の照明・小道具・衣装などの演出」「作品全体の完成度」などを軸として評価します。
出典:Dリーグ公式サイトよりhttps://home.dleague.co.jp/news/ExDUxPwjwM/

ⒸD.LEAGUE 24-25

ISSEI 毎回いい作品なんだけど、確かにジャッジの審査基準に悩まなくなったのはROUND.8だと思う。「シンクロパフォーマンス※3」や「エースパフォーマンス※4」もどういう作り方なら強いのかをつかめた気がする。

Taichi 僕は衝撃的でした。ROUND.8に向けて、SHUVANさんが「審査基準に合わせよう」って言ったのに驚きましたよ。昔から頑固で、絶対に曲げない性格のSHUVANさんがそんなことを言うなんて、信じられませんでした。

SHUVAN ROUND.6の敗戦が大きかったんだよね。個人的にはかなり強いと思える内容で挑んだのに負けてしまった。そこで「Dリーグの戦い方はこれではないんだ。もっとDリーグのルールに合わせていかなきゃ勝てない」と思うことができた。特にKADOKAWA DREAMSはあの時1位で、チームの士気を高めるためにも絶対に1位のチームに負けるわけにはいかなかったから。

※3 ダンサー8名全員のダンスが揃っていたかを評価する項目。
※4 各チームが選出する「エース」のソロパフォーマンスに対して評価する項目。

ⒸD.LEAGUE 24-25

Taichi 変化を起こして、それがまさにいい結果につながったんだと思います。

ブレイキンの一番の魅力、美しさとは

ISSEI 僕は初代のディレクターの時から、ずっとブレイキンの可能性を広げたいと思ってやってきました。実際にこのチームは新しい可能性を広げ続けていると思う。だって、自分がシンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)をこんなに重点的に見るようになるとは思わなかったですもん。

SHUVAN まさかダンスをやっていて、その世界を勉強することになるとは思ってなかったよね。

ISSEI 今シーズン途中から加入したときに驚いたのが、練習中にシンクロを重点的に練習する「シンクロタイム」があること(笑)。最初は何やってるんだ?と思ったけど、みんな真剣そのもの。

Taichi シンクロに関しては、もちろん形を合わせるのは大事だけど、一番は雰囲気というか、一体感が出ることが大事。そろっている時って、その空気も自然と感じられる。

ISSEI 本当にそう! 気持ちの一体感。一方で、ひとりひとりの体の作りの違い、そこから生まれるシルエットや技の違い、顔を見なくても誰が踊ってるのかわかるというのがブレイキンの面白さでもある。ダンスで人を魅了するのに必要なのは、そういうキャラクターの部分でもあると思ってる。

Taichi 僕もブレイキンで一番大事にしているのは、個性の部分。自分にしかできない動き、それを追求していった先にオリジナルの技やムーブが生まれてくる。そこが一番の魅力で、美しさだと思う。

スキンケア兄弟と無頓着ディレクター

SHUVAN Taichiは見た目からして美しいからね。うん、美しい。

Taichi そうですね。やっぱり人に見られる職業でもあるので、スキンケアはもう習慣になりましたね。

SHUVAN あ、いや、そうだね……。

Taichi 僕は雪肌精クリアウェルネスシリーズの敏感・低刺激タイプを使ってます。特別なケアというよりは、家に帰ったら当たり前のように洗顔して、化粧水と乳液を塗ってます。

スキンケア習慣が当たり前と語るTaichi photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

ISSEI 僕は青い方の雪肌精。ONE BY KOSÉセラムヴェール ディープリペアの後に使ってます。SHUVANさんは?

SHUVAN う、うん……。メイクさんから怒られちゃうかもしれないけど、俺はボディソープで顔まで洗うタイプなんで……。

普段はボディソープで顔まで洗うというSHUVAN photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

ISSEI ちょっとディレクター!(笑)。確かに地元にいるときはスキンケアするメンズも周りにおらんかったけど。

Taichi 僕もKOSÉ 8ROCKSに入るまでは無関心だったけど、チームに入ってスキンケアの大事さを学びました。ステージに2週間に1回立つ上で、肌の状態がいいに越したことはない。そういう仕事ですからね。ダンスと同じだと思います。ダンスは練習すればするだけ上手くなるし、肌の状態もケアすればするだけいい状態を保てる。

ISSEI 最近は周りのダンサーも影響されて、きちんとケアし始めてるんだよね。

Taichi 本当によくなるのがわかるし、楽しいから続けられる。

SHUVAN ちょっと、その楽しさ、俺にも教えて!

ISSEI ぜひ始めてください。

Taichi コスメデコルテのリポソーム美容液もおすすめです。

SHUVAN わかった。今日から頑張ります!

photograph by 榎本麻美(Asami Enomoto)

\ この記事が気に入ったら
「シェア」をお願いします
/

記事を探す

SPORTS

KEYWORD

ARCHIVE