
2025.03.29NEW
【愛用アイテムご紹介】Shigekix選手編
●ブレイキンスポーツビューティ事務局2021年1月に開幕したダンスのプロリーグ「D.LEAGUE」において、強い存在感を放ってきたチームがある。「KOSÉ 8ROCKS」(コーセーエイトロックス)だ。2シーズン目に優勝を飾った実績もさることながら、D.LEAGUEの中ではブレイキンを軸として戦う唯一のチームとして輝きを見せてきた。
このチームのディレクターを務めるダンサーが「Kaku」(角谷直人)である。初年度から2シーズン目までは、シーズンを通して出演するレギュラーではなく期間限定で参加する「SPダンサー」として関わり、3シーズン目に、振り付けや構成を手がけ作品をディレクションする同職に就いた。
D.LEAGUEとして4シーズン目、ディレクターとしては2シーズン目を目前に控える今、Kakuは決意を見せる。
「ブレイキンでこれだけ表現できるんだというところを見せたいと思っています」
そこにはブレイキンへの、そしてチームへの強い思いが込められていた。
日本のブレイキンの第一人者として国内外の大会で活躍してきたKakuは、中学生になってブレイキンに出会った。
「学校の友達がやっていて、その子が学校でも人気がある子だったんです。彼がやってることについていったら俺らもカッコつくやろという感じで、彼が一緒にやろうときっかけをくれたのが1つ。あとは、当時テレビのブラウン管の中からナインティナインの岡村隆史さんがゴリさんとダンスバトルをやってるのが流れてきて、観たときに面白くて」
いざやってみて、瞬く間にその世界に夢中になった。1日目にして、三点倒立で回ることができたのだ。
「小さいときから親にも心配されるくらい倒立をやっていたんですね。それもあって回れたんだと思います」
頭頂部を床につけて軸として回ったとき、「みつけた」と思った。
「それまでも野球やサッカー、バスケットボールをやったり、ちょっとバンドもやってみたり、でも長続きしなかったんですね。でもブレイキンに出会って『これだ!』というか、『自分はこういう人です』という自己表現の手段をみつけたと思いました」
床についた頭頂部を支点として回転する、ブレイキンを象徴する技「ヘッドスピン」に磨きをかけ、2006年には世界大会に日本代表として出場するなど、日本のB-BOYシーンで頭角を現し、そしてリードしてきた。
大阪をベースに、チームも結成して活躍、また教える立場にもなっていたKakuは、KOSÉ 8ROCKSのSPダンサーとして初年度から2シーズン参加。
「リーグがスタートしてまだ手探りでやっている中、新しいことにチャレンジするのは簡単ではないことですけれど、みんな弱音吐かずにやっているっていう姿に心を打たれました。練習で失敗していることを、本番でクオリティ高くやり抜く力って、本当にすごいなと思っていました」
2シーズン目の優勝を受けて、3シーズン目からディレクターに就任した。
その初年度は7位にとどまった。
「試練の年でしたね。それまでのコンペティション形式からバトル形式に変わりましたが、チャンピオンとしてスタートして追われる立場になって、どのチームも自分たちに向けて潰しに来るというところから始まったので、相手がどう来るのか読みの部分や戦略の部分で歯車が崩れていたかな、という思いはあります」
それでも、次へつながる兆しはあった。ROUND.10からROUND.12まで勝ち続けて終えたことだ。
「メンバーみんなが協力してくれて、全員で勝つためにどうしていこうかってみんなで考えて、それが勝ちにつながっていった部分があります。苦しい状況ではあったんですけど、苦しい状況だからこそ、みんなで頑張ろうぜって気持ちになったかなと思います」
なによりもメンバーたちの、D.LEAGUEに、ダンスに懸ける思いをあらためて感じた。
「ROUND.4で勝利して、MVD(各ラウンドの最優秀ダンサー)をメンバーのYU-KIが獲ったとき、自分の中でも『これだけうれしいんだ』と思いました。ROUND.8でSPダンサーの方に来ていただいたのに、結果がつかなかったときはリーダーのRyo-spinをはじめ、本当に悔しくて、自分たちがやっていることが認めてもらえないとみんなが感じた瞬間でした。このD.LEAGUEで感情が大きく揺れ動くというのは、それだけ自分たちがこれに懸けてるんやな、と感じましたね」
だから間もなくスタートする、新シーズンで巻き返したいという思いは強い。
このチームならではの武器もある。
KOSÉ 8ROCKSはコーセーをオーナーとするチームということもあり、メイクアップでもサポートを受けている。
「僕らってやっぱり表に出る仕事で見られている立場なわけですし、メイクしてもらって、それを意識するだけで全然違います。やっぱり気持ちにつながってきますよね」
そしてこう続ける。
「ステージに立つとみんな絶対に緊張するんですよ。でもメイクをしてもらうことによって1つのマスクをかぶれるというような感覚があって緊張も緩和されます。自覚も一気に生まれますし、ステージに立つ自信につながります。メイクすることによってキャラクターが演じられて演技に入り込めたり、全員の意識の統一にもつながってくると思います」
メイクで装うことは外見ばかりでなく、内面にも大きな影響を与えることを意味している。
それだけにとどまらない。
「本番前までメイクさんとお話しさせてもらっています。その中でもらう意見が新鮮で面白いなと思って、ダンス構成や新しい技のヒントをそこで探したりもしています。自分たちのチームは13人でやっているんですけど、13人だけでやってるわけじゃないな、メイクさんや一緒にやっているスタッフさん、みんなの力がまるでビルが構築されるようにチームになっているんだなと思います」
メンバーをはじめスタッフも含めたチームの力を感じるからこそ、新たなシーズンへの思いも強まる。
「僕らはブレイキンというジャンルに対する愛であったり、ブレイキンが最強なんだという信念であったり、絶対に立て直してやろうという強い気持ちであったり、全員が確固たる決意と強い心を持っています。ダンスに対する愛はすごいし、他のチームより強いんじゃないかなと思っています。本当にレベルの高いことをやってますけど、敷居の高い存在ではなく親しみのあるパフォーマンスを、そしてただすごいだけじゃなくて、いかに美しく表現するか、細かい指先の形までこだわってやっていくか、そこを見せていきたいです。
僕自身、はじめは話すのが苦手だったんですけど、声をかけてもらうことによっていろんな人と話したり、いろいろな意見を交換したり、それで国内から海外の人たちともつながるようになって。ダンスの力でこれだけいろいろな人と話せるようになりました。自分を表現できるものですし、ほんとうにブレイキンをやっていてよかったなって思います。シーズンが終わったときに、ブレイキンを好きでやってくれてる子どもたちであったり、親御さんであったり、そういう人たちにとってもブレイキンやっていてよかった、親御さんであったらやらせてよかったと思ってもらえるような結果を、エイトロックスで出したいですね」
自己表現の大切な手段であるからこそ、より美しく、より多くの人に魅力を伝えたい。KakuはKOSÉ 8ROCKSの躍進を誓い、開幕を見据える。
早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経て「Number」の編集に10年携わりフリーに。スポーツでは五輪競技を中心に取材活動を続け、夏季は2004年アテネ、'08年北京、'12年ロンドン、'16年リオデジャネイロ、冬季は'02年ソルトレイクシティ、'06年トリノ、 '10年バンクーバー、'14年ソチ、'18年平昌と現地で取材にあたる。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)『フライングガールズ−高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦−』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ 前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)など。
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