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「根拠のない自信」から始まる成長の秘訣。世界を沸かせる同学年アスリートShigekix×髙橋藍[スペシャル対談]

2025.06.25

 

「根拠のない自信」から始まる成長の秘訣。世界を沸かせる同学年アスリートShigekix×髙橋藍[スペシャル対談]

石井宏美

昨夏の世界大会に出場し、日本中を沸かせた同学年の2人が初対談。10代の頃から世界を意識し、厳しい環境に身を置くなかでこだわってきたことは何なのかを語り合った。

「シゲくん」「ランくん」

Shigekix 「Shigekix」だと呼びづらいと思うので好きなように呼んでください(笑)。

髙橋 じゃあ「シゲくん」と呼ばせていただきます。

Shigekix  せっかくなので 僕も「ランくん」と呼ばせていただきますね。

髙橋 一度、番組の収録でお会いしたことはありましたがメディアなどを通じてすごく大人っぽい人だなという印象を持っていました。

Shigekix この対談まで同じ学年って気づいてなかったんですよ。僕よりも年上なのかなと思っていたくらいで。だから一気に親近感が湧きました。

「シゲくん」「ランくん」とお互いの呼び方が決まり、和やかな雰囲気で対談がはじまった

伝えたい「リアル」と出したい「結果」

髙橋 バレーボールを観たことはありますか?

Shigekix 昨年夏の世界大会では自分の競技に集中していたので観られなかったんですが、実は2021年の東京での世界大会でバレーボールの試合を観る機会がありました。あの時はちょうどコロナ禍で無観客だったので、観客が入ったら相当盛り上がるだろうなと、試合を観て熱気を感じたのをよく覚えています。

髙橋 ブレイキンって実はその場で音楽が流れて即興でダンスをするという難しさもあるということを最近知って。その緊張感は想像以上なんでしょうね。

Shigekix   ダンスは大会によって雰囲気も違いますし、現場に行くと映像やSNSで見る切り取られた数十秒のイメージとも印象が違うんですよ。非日常の空間に足を踏み入れるような感覚があると思うのでぜひ体感してもらいたいです。

髙橋 昨年夏の世界大会をきっかけにより注目されるようになったと思いますが、普段から意識していることはありますか。

Shigekix  いいパフォーマンスと結果を残すことで応援してくれるみなさんに喜んでもらいたいといういちプレーヤーとしての思いや本質に変わりはありません。ただブレイキンの世界をより発展させていきたい思いはさらに強くなりました。それに自分のダンスだけでなく、そこに至るまでの姿勢やプロセスも含めて、人となりや文化に触れてもらいながら〝リアル〟を伝えることを大切にしています。生半可な気持ちでブレイキンに打ち込んではいないことや、自分たちの好き勝手にやっているマナーのない人たちだというような誤解をさせないためにも、僕は‶リアル〟を伝えることが大事だと考えていて。

24年からKOSÉ 8ROCKSにレギュラーダンサーとして加入。D.LEAGUE 24-25シーズンは、MVD(Most Valuable Dancer)に2度表彰された。

髙橋 選手である以上は大会や試合で結果を残すことを第一に考えています。結果が伴うことで挑戦できることもありますし。バレーも日ごろからたくさんの方々に応援していただいていて、昨夏の世界大会の影響力の大きさもあらためて実感しました。だからこそより盛り上げていきたい。昨夏以降、女性の方を始め、観客の年齢層も幅広くなっていることを感じています。でも自分にできることはまだまだあると感じていますし、競技人口もバレーに興味を持ってくださる方も今後もっと増やしたい気持ちは強いですね。それに選手がいい環境で競技をするためにも積極的に発信したいと思っているんです。異なる価値観に触れることで人としての成長にもつなげていきたいですね。

髙橋藍もShigekixと同様に「結果」へのこだわりを強く持つ

Shigekix  大きなステージ、舞台を作るためにはたくさんの方のエネルギーが注がれていて、魂を入れてくださっているからこそそう感じますよね。ブレイキンも大会やトーナメントだけにフォーカスするだけではなく、取り巻く環境も含めて、今は業界が大きくなるための重要なポイントで、新たなフェーズに入ってきていると感じているところです。

海外経験がもたらすこと

髙橋 ブレイキンもバレーも国内のみならず海外でも試合や大会が行われていますよね。僕はイタリアでのプレー経験がありますが、言葉が違うので最初はうまく伝えられなかったり、相手の話が理解できず、コミュニケーションの面で苦労しました。

21年から4年間イタリア セリアAでプレー。24年からサントリーサンバーズ大阪に入団し、活躍の場を日本に移した ©SUNTORY SUNBIRDS OSAKA

Shigekix  基本的に長期で海外に滞在することがなく、長くても4日間ぐらいなんですよ。でも海外遠征を始めた9歳、10歳の頃は、いろいろトラブルに巻き込まれた思い出がありますね。

髙橋 小学4、5年生から海外で活動していたなんてすごい。ブレイキンは日本と海外の観客の違いや盛り上がりの違いはありますか。

Shigekix  音楽は一緒でも発祥地のアメリカ、そこにアート的要素と芸術的要素が加わって発展したヨーロッパ、そしてテクニックが際立つアジアではその感じ取り方には差があると感じます。たとえば海外のダンサーが日本に来たとき、観客は普段見られないものが見られるワクワク感がありつつも、馴染みのないダンスに少し構えてしまったり。逆に僕が少年の頃に海外に行ったときには、一人で海外に来てとんでもないパフォーマンスをしたとポジティブな受けとめ方をしてもらえた。会場の盛り上がりは南米がとにかく熱いですね。日本の方はすごく真剣に見てくださるんですが、熱量がすごすぎてもっとリラックスして見てくれてもいいのにと思うことも。バレーでも海外と日本の違いはありますか?

同じブレイキンでも国によって感じ取り方の差があると語るShigekix

髙橋 イタリアはホーム&アウェイの差がはっきりしていました。アウェイだとブーイングも喰らいますし、プレーを邪魔されたりすることもあったり。でもアジアになるとまた違うんですよ。国ごとに違いがあるのはプレーする上で一つの醍醐味になっているのかも。

Shigekix ブレイキンは個人戦が多いので(観客は)選手一人ひとりをリスペクトするというスタンスですね。ホーム&アウェイだと観客のみならず選手のモチベーションもヒートアップしそう。

髙橋
 燃えますね。

Shigekix  そもそも海外に拠点を置こうと思ったきっかけは何だったんですか?

髙橋 2021年の世界大会に出場したとき世界と自分の間には大きな経験の差があると痛感して。若い頃から世界のトップリーグで挑戦したいと考えていました。幼い頃から高い目標を持って、それを言葉にするようにしてきましたが、それが2021年の世界大会を経て、覚悟や責任に変わったという実感もあります。だからこそ、次世代のアスリートたちには常に高い目標を持って挑戦してもらいたい気持ちも強いんです。

根拠がなくても、最初は「自信」を持つことを大切にして欲しい

Shigekix  「〇年後にこうなっていたい」という理想や具体的なイメージがあるのであればそこから逆算してプランを立てることで、自然と自分がやるべきことも見えてくる。それに一人で黙々とひたむきに取り組むことはもちろん、周りに共有することも大事だと僕は考えていて。本気が伝われば周りの人たちも自然と協力したくなりますよね。あと10代の選手たちには自己満足だとしても、最初は自分が特別だと思うことも大切にしてもらいたい。実績や経験値があればそれが自負にもなり、それを生かそうと思えるけど、10代はまだそういうものがない。根拠のない自信でも最初はいいんです。並行して根拠をつけようと自分が努力していけば。

髙橋 自信を持つことは本当に大事。しかもそれを人に見せるのではなくて自分自身の中で秘めつつも、周りには謙虚な姿勢で。やっぱり自分たちが思い切ってプレーできるのは周りの方々のサポートがあってこそですから。

Shigekix   自分には厳しく、周りには謙虚であれば真の情熱って必ず伝わりますから。自分の中でもう一つ大切にしていることが常にハングリーであることです。人ではなく自分の理想と戦わせるんです。基準を他人にしてしまうと、目標を達成したときに自分を見失いかねないからです。競わせるのは、今の自分より輝いている自分と今の自分。自分を凌駕するために。

キーアイテムは「ミストタイプの化粧水」?

髙橋 戦闘モードに入るスイッチになっているものってありますか。

Shigekix   人に見られる、見せる競技だからというのもあるかもしれないんですが、モチベーションは大切にしていて。常に自然体でいられるようにはしています。

髙橋 僕は試合の前、気持ちを入れる前にシャワーを浴びて念入りに雪肌精の化粧水(薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション[医薬部外品])と乳液(薬用雪肌精 ブライトニング エマルジョン[医薬部外品])で肌を保湿して髪をセットする。身だしなみを整えることが気持ちのスイッチになっています。

身だしなみを整えることが気持ちのスイッチ

Shigekix  僕もミストタイプの化粧水(コスメデコルテ 薬用 マイクロバーム ローション ミスト)は必ず持ち歩いていますね。特に海外遠征のときは機内で乾燥するのでコーセーさんの化粧水が欠かせません。筋肉は寝て起きたら割と回復しているんですがお肌はケアをしないと数日間、場合によっては1週間ほど影響を受けてしまうので。やっぱり肌もいいコンディションで気分を上げて試合に臨みたいですから。

髙橋 ミストタイプの化粧水は使ってみたい! 

Shigekix   自宅に置いてきたときは財布を忘れたくらい焦りますよ(笑)。

ミストタイプの化粧水がないと、財布を忘れたくらいに焦るという

髙橋 次に飛行機に乗るときはミストタイプを使ってみたいです。これから国際大会にも出場しますが、バレーボールを夢のあるスポーツにしていくために、引き続き結果にはこだわっていきたいと思います。そして昨夏、成し遂げられなかった悔しさを超えたい。

Shigekix  11月に両国国技館で世界の頂点を決める国際大会があるのでそこでは気合の入った演技を見せたいですね。もちろんブレイキンをますます盛り上げられるような挑戦や試みも引き続き継続していきます。

photograph by 佐藤亘(Wataru Sato)

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